本書の概要
麻田雅文氏による『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』は、1945年8月の終戦前後に展開された、日本史上極めて重要でありながら見過ごされがちだった戦争の全貌を、最新の史料を駆使して描き出した画期的な一冊です。本書は発売後、朝日、読売、毎日、産経、日経の新聞5紙全てで書評が掲載されるという快挙を成し遂げ、その学術的価値と社会的重要性が広く認められました。
これまで断片的に語られてきたソ連の不可侵条約破棄、満洲や南樺太・千島列島での戦闘、シベリア抑留、そして北方領土問題の原点までを、アメリカの対ソ参戦要請という国際政治のダイナミズムから一気通貫に解説。単なる戦史にとどまらず、この戦争が現代の東アジア情勢、とりわけ日露関係や朝鮮半島分断、中台問題にまでいかに深い影を落としているかを鮮やかに解き明かしています。歴史の空白を埋め、現代を読み解く鍵を提供する、まさに必読の書と言えるでしょう。
『日ソ戦争』(麻田雅文著@中央公論新社)
— 新聞メタ書評報「汗牛充棟」 (@syohyomachine) November 27, 2024
が全5紙(朝日新聞11/23、読売新聞9/1、毎日新聞7/6、産経新聞6/23、日経新聞6/1)に紹介されました。全紙に紹介された本は、今年にはいって6冊目
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目次(本の設計図)
はじめに
第1章 開戦までの国家戦略
第2章 満洲の蹂躙、関東軍の壊滅
第3章 南樺太と千島列島への侵攻
第4章 日本の復讐を恐れたスターリン
おわりに
牛っと詰まったエピソード
🔒国境要塞の死闘
満洲東部の虎頭要塞で玉音放送後も日本軍と民間人が籠城。壮絶な最期を迎えた。
🔒皇帝・溥儀の最期
満洲国最後の皇帝溥儀が亡命途中の飛行場でソ連軍に拘束される劇的な瞬間。
🔒無謀な「陸の特攻」
火力で劣る日本軍は、兵士に爆薬を抱えさせ戦車に突撃させる「肉迫攻撃」を強要。
著名人たちの原風景
森繁久彌らが体験したソ連兵の蛮行や引き揚げの苦難。後の創作にも影響を与えた壮絶な原体験。
幻の北海道分割占領
スターリンが要求した北海道分割案。トルーマンの拒否で日本の分断は回避された。歴史の大きなifを突きつける水面下の攻防。
真岡郵便局9人の乙女
南樺太にソ連軍が上陸。最後まで通信を続けた女性電話交換手たちが、迫るソ連兵を前に自決し、9名が亡くなった悲劇。
🔒忘れられた海の悲劇
終戦後、民間人1700人以上が犠牲となった「三船遭難事件」とは。
🔒占守島の奇跡的奮戦
千島最北端の占守島に奇襲上陸したソ連軍を日本軍が猛反撃。
🔒国共内戦を左右した兵器
ソ連は関東軍から奪った大量の兵器を中国共産党へ供与。
基礎からわかる牛&A
🔒 Q. なぜソ連は終戦間際に参戦したの?
Q. 日本はなぜソ連の仲介に期待した?
🔒 Q. 玉音放送の後もなぜ戦闘が続いた?
🔒 Q. 北海道がソ連に占領されなかった理由は?
🔒 Q. シベリア抑留はなぜ起きたの?
Q. この戦争は今の私たちにどう関係する?
重要キーワード解説
日ソ中立条約
ヤルタ秘密協定
関東軍
ポツダム宣言
シベリア抑留
満蒙開拓団
北方領土問題
38度線
スメルシ
心が牛っと掴まれた
- 「もしソ連の北海道占領が実現していたら…」という歴史のifを突きつけられ、今の日本の平和が偶然の産物であることに戦慄した。
- 玉音放送で戦争が終わったと信じていた人々が、その後に始まる本当の地獄(ソ連軍の侵攻、虐殺、性暴力)に巻き込まれていく様に、言葉を失った。
- 森繁久彌や赤塚不二夫など、知っている有名人たちの壮絶な戦争体験が赤裸々に語られており、戦争が遠い過去ではなく、すぐ隣にある現実だと感じさせられた。
- ソ連だけでなく、アメリカや中国の思惑が複雑に絡み合い、日本の運命が決められていくダイナミズム。これは単なる戦史ではなく、現代にも通じる冷徹な国際政治の教科書だ。
- これまで「加害者」として語られがちだった日本の戦争の、攻め込まれた「被害者」としての一面を知り、歴史を多角的に見ることの重要性を痛感した。