本書の概要
今井むつみ氏・秋田喜美氏による『言語の本質』は、刊行直後から大きな注目を集め、その知的興奮に満ちた内容で多くの読者を魅了しています。本書は、読売・朝日・毎日・産経・日経の全国紙5紙すべてで書評が掲載されるという快挙を成し遂げました。これは、専門家からも一般読者からも高く評価されている「社会的証明」と言えるでしょう。
さらに、その功績は広く認められ、1年で最も優れた新書に贈られる「新書大賞2024」を受賞しました。本書は「オノマトペ」という身近なテーマを切り口に、言語の起源、進化、そして人間の思考の本質にまで迫ります。子どもが言葉を覚える過程、手話の進化、AIとの違いなど、刺激的なトピックが満載で、知的好奇心を揺さぶる一冊として確固たる地位を築いています。
『言語の本質』(今井むつみ/秋田喜美著@中央公論新社)
— 新聞メタ書評報「汗牛充棟」 (@syohyomachine) September 26, 2023
が全5紙(毎日新聞7/15、日経新聞7/8、産経新聞6/18、読売新聞6/18、朝日新聞6/17)に紹介されました。『聞く技術 聞いてもらう技術』、『82年生まれ、キム・ジヨン』、『街とその不確かな壁』に続き今年4冊目。https://t.co/HfYvH9g12u
目次
各章のカードをクリックすると、要約とキーワードが表示されます。
牛っと詰まったエピソード
本書を彩る、具体的で面白いエピソードの数々。クリックして詳細をご覧ください。
基礎からわかる牛&A
本書を読む前に抱くかもしれない素朴な疑問に、著者たちの探究に基づきお答えします。
重要キーワード解説
本書の核心を理解するための鍵となる概念。一般的な意味を中心に解説します。
心が牛っと掴まれた
本書を読み終えたとき、多くの読者が体験するであろう「知的な衝撃」と「世界の見え方が変わる感動」を、特に心に残った順にご紹介します。
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1.
「アカ」や「アルク」といった日常語ですら、言語の体系の中で意味が決まる「抽象的な記号」なのだという指摘に、当たり前に使っていた言葉の世界が、実は緻密で相対的なシステムの上に成り立っていることに気づき、根底から覆されました。
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2.
言葉を覚える赤ちゃんは、ただの暗記マシーンではなく、仮説(アブダクション推論)を立てて検証し、誤りを修正しながら自ら言語体系を構築していく「小さな科学者」なのだと知り、その逞しい創造性に深い感動を覚えました。
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3.
「ぴえんこえてぱおん」のような若者言葉にも、「アイコン性の輪」という言語の普遍的な進化の法則が隠れていることに驚嘆。言葉の変化は「乱れ」ではなく、常に意味のバランスを取ろうとするダイナミックな営みの一部なのだと理解できました。
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4.
チンパンジーには難しい「A→BならB→A」という対称性推論を、私たち人間が無意識に、しかも生後間もない頃から行っているという事実。この「非論理的な飛躍」こそが、人間を人間たらしめる思考の源泉であり、言語の扉を開いた鍵だと気づかされました。
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5.
「しわしわ」がオノマトペではないように、言葉の体系に触れることで「似ている」という感覚が後から作られるという「二次的アイコン性」の考え方が非常に刺激的でした。私たちの感覚は、言語や文化によって、知らず知らずのうちに形作られているのですね。